債権を遺贈の目的とした場合において、遺言者が弁済を受け、かつ、その受け取った物がなお相続財産中に在るときは、その物を遺贈の目的としたものと推定する。
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第七章 遺言(第千一条から第千二十七条まで)
民法等の一部を改正する法律(令和八年法律第四十五号)による改正後の条文です。変わる言葉に印をつけています。
本則は章ごとのページで読みます。長い章は、さらに条のまとまりごとに分けています。本則の全条文と、この改正が変える附則・別表を示します。この改正が触れていない附則や別表は、いま施行されている条文のページでご覧ください。
第千一条
金銭を目的とする債権を遺贈の目的とした場合においては、相続財産中にその債権額に相当する金銭がないときであっても、その金額を遺贈の目的としたものと推定する。
第千二条
負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第千三条
負担付遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴えによって減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じて、その負担した義務を免れる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第四節 遺言の執行
第千四条
遺言書又は第九百七十九条の二第一項各号に規定する方法により記録された電磁的記録(以下この章において「遺言書等」という。)の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書等の保管者がない場合において、相続人が遺言書等を発見した後も、同様とする。
前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
第一項の規定は、遺言者が第九百七十六条の二の規定により遺言をした場合(同条第一項第二号の電磁的記録に記録されたとき(第九百八十二条第一項において準用する第九百六十八条第三項の規定により変更された場合にあっては、その旨が記録されたとき)に限る。)において、当該遺言に係る遺言書の保管者の一人が第一項の規定による検認の請求をしたときは、他の保管者については、適用しない。
前項の規定は、遺言者が第九百七十九条の二の規定により遺言をした場合について準用する。この場合において、同項中「遺言書」とあるのは、「第九百七十九条の二第一項各号に規定する方法により記録された電磁的記録」と読み替えるものとする。
封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
第千五条
前条の規定により遺言書等を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
第千六条
遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
第千七条
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
第千八条
相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。
第千九条
未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
第千十条
遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。
第千十一条
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。
第千十二条
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
第六百四十四条、第六百四十五条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。
第千十三条
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。
第千十四条
前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第千十五条
遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。
第千十六条
遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
第千十七条
遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
第千十八条
家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
第六百四十八条第二項及び第三項並びに第六百四十八条の二の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。
第千十九条
遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。
遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
第千二十条
第六百五十四条及び第六百五十五条の規定は、遺言執行者の任務が終了した場合について準用する。
第千二十一条
遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。
第五節 遺言の撤回及び取消し
第千二十二条
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
第千二十三条
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
第千二十四条
遺言者が故意に遺言書等を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。
第千二十五条
前三条の規定により撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が錯誤、詐欺又は強迫による場合は、この限りでない。
第千二十六条
遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。
第千二十七条
負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。