先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
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第八章 先取特権(第三百三条から第三百二十二条まで)
民法等の一部を改正する法律(令和八年法律第四十五号)による改正後の条文です。変わる言葉に印をつけています。
本則は章ごとのページで読みます。長い章は、さらに条のまとまりごとに分けています。本則の全条文と、この改正が変える附則・別表を示します。この改正が触れていない附則や別表は、いま施行されている条文のページでご覧ください。
第八章 先取特権
第一節 総則
第三百三条
第三百四条
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。
第三百五条
第二百九十六条の規定は、先取特権について準用する。
第二節 先取特権の種類
第一款 一般の先取特権
第三百六条
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
共益の費用
雇用関係
子の監護の費用
葬式の費用
日用品の供給
第三百七条
共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。
前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。
第三百八条
雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。
第三百八条の二
子の監護の費用の先取特権は、次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権の各期における定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額(子の監護に要する標準的な費用その他の事情を勘案して当該定期金により扶養を受けるべき子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額)について存在する。
第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
第七百六十六条及び第七百六十六条の三(これらの規定を第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
第三百九条
葬式の費用の先取特権は、債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額について存在する。
前項の先取特権は、債務者がその扶養すべき親族のためにした葬式の費用のうち相当な額についても存在する。
第三百十条
日用品の供給の先取特権は、債務者又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の六箇月間の飲食料品、燃料及び電気の供給について存在する。
第二款 動産の先取特権
第三百十一条
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
不動産の賃貸借
旅館の宿泊
旅客又は荷物の運輸
動産の保存
動産の売買
種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
農業の労務
工業の労務
第三百十二条
不動産の賃貸の先取特権は、その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在する。
第三百十三条
土地の賃貸人の先取特権は、その土地又はその利用のための建物に備え付けられた動産、その土地の利用に供された動産及び賃借人が占有するその土地の果実について存在する。
建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する。
第三百十四条
賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ。譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭についても、同様とする。
第三百十五条
賃借人の財産のすべてを清算する場合には、賃貸人の先取特権は、前期、当期及び次期の賃料その他の債務並びに前期及び当期に生じた損害の賠償債務についてのみ存在する。
第三百十六条
賃貸人は、第六百二十二条の二第一項に規定する敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する。
第三百十七条
旅館の宿泊の先取特権は、宿泊客が負担すべき宿泊料及び飲食料に関し、その旅館に在るその宿泊客の手荷物について存在する。
第三百十八条
運輸の先取特権は、旅客又は荷物の運送賃及び付随の費用に関し、運送人の占有する荷物について存在する。
第三百十九条
第百九十二条から第百九十五条までの規定は、第三百十二条から前条までの規定による先取特権について準用する。
第三百二十条
動産の保存の先取特権は、動産の保存のために要した費用又は動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その動産について存在する。
第三百二十一条
動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在する。
第三百二十二条
種苗又は肥料の供給の先取特権は、種苗又は肥料の代価及びその利息に関し、その種苗又は肥料を用いた後一年以内にこれを用いた土地から生じた果実(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉の使用によって生じた物を含む。)について存在する。