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民法(みんぽう)

第八章 先取特権(第三百二十三条から第三百四十一条まで)

民法等の一部を改正する法律(令和八年法律第四十五号)による改正後の条文です。変わる言葉に印をつけています。

本則は章ごとのページで読みます。長い章は、さらに条のまとまりごとに分けています。本則の全条文と、この改正が変える附則・別表を示します。この改正が触れていない附則や別表は、いま施行されている条文のページでご覧ください。

第三百二十三条

(農業労務の先取特権)
第一項

農業の労務の先取特権は、その労務に従事する者の最後の一年間の賃金に関し、その労務によって生じた果実について存在する。

第三百二十四条

(工業労務の先取特権)
第一項

工業の労務の先取特権は、その労務に従事する者の最後の三箇月間の賃金に関し、その労務によって生じた製作物について存在する。

第三款 不動産の先取特権

第三百二十五条

(不動産の先取特権)
第一項

次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する。

一

不動産の保存

二

不動産の工事

三

不動産の売買

第三百二十六条

(不動産保存の先取特権)
第一項

不動産の保存の先取特権は、不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その不動産について存在する。

第三百二十七条

(不動産工事の先取特権)
第一項

不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。

第二項

前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。

第三百二十八条

(不動産売買の先取特権)
第一項

不動産の売買の先取特権は、不動産の代価及びその利息に関し、その不動産について存在する。

第三節 先取特権の順位

第三百二十九条

(一般の先取特権の順位)
第一項

一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百六条各号に掲げる順序に従う。

第二項

一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。

第三百三十条

(動産の先取特権の順位)
第一項

同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。

一

不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権

二

動産の保存の先取特権

三

動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権

第二項

前項の場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする。

第三項

果実に関しては、第一の順位は農業の労務に従事する者に、第二の順位は種苗又は肥料の供給者に、第三の順位は土地の賃貸人に属する。

第三百三十一条

(不動産の先取特権の順位)
第一項

同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百二十五条各号に掲げる順序に従う。

第二項

同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。

第三百三十二条

(同一順位の先取特権)
第一項

同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。

第四節 先取特権の効力

第三百三十三条

(先取特権と第三取得者)
第一項

先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。

第三百三十四条

(先取特権と動産質権との競合)
第一項

先取特権と動産質権とが競合する場合には、動産質権者は、第三百三十条の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。

第三百三十五条

(一般の先取特権の効力)
第一項

一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。

第二項

一般の先取特権者は、不動産については、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならない。

第三項

一般の先取特権者は、前二項の規定に従って配当に加入することを怠ったときは、その配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については、登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができない。

第四項

前三項の規定は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し、又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合には、適用しない。

第三百三十六条

(一般の先取特権の対抗力)
第一項

一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。

第三百三十七条

(不動産保存の先取特権の登記)
第一項

不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。

第三百三十八条

(不動産工事の先取特権の登記)
第一項

不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。

第二項

工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。

第三百三十九条

(登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権)
第一項

前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。

第三百四十条

(不動産売買の先取特権の登記)
第一項

不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。

第三百四十一条

(抵当権に関する規定の準用)
第一項

先取特権の効力については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、抵当権に関する規定を準用する。