自動車損害賠償保障法
自己のために自動車を運行の用に供する者に、限られた例外を除いて、その運行で他人を死傷させた損害を賠償させ、自動車に自動車損害賠償責任保険などの契約を義務づけ、保有者が分からない場合や、賠償責任を負う者が責任保険などの被保険者でない場合に、被害者の損害を政府がてん補する仕組みを定める法律です。
- 現在の条文の施行日
- 制定(公布)
- 本則の条数
- 115
- 施行前の改正
- 0
この法令の内容
- 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命や身体を害したときは、生じた損害を賠償する責任を負います。この責任を免れるのは、次の3つをすべて証明したときだけです。自分と運転者が自動車の運行について注意を怠らなかったこと、被害者または運転者以外の第三者に故意か過失があったこと、自動車に構造上の欠陥や機能の障害がなかったことです。第3条に定めるほかは、この責任には民法の規定が適用されます。(第三条第一項, 第四条第一項)(根拠条文)
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- 第3条の賠償責任、責任保険、政府による損害のてん補は、いずれも自動車の運行によって人の生命または身体が害された場合、つまり死亡とけがを対象にしています。どれも物の損害は対象にしていません。この法律の「自動車」は、道路運送車両法に定める自動車と原動機付自転車のことです。ただし、農耕作業用に作られた小型特殊自動車は含まれません。(第一条第一項, 第二条第一項, 第三条第一項, 第十一条第一項, 第七十二条第一項)(根拠条文)
- 自動車は、自動車損害賠償責任保険(責任保険)か自動車損害賠償責任共済(責任共済)の契約が締結されていなければ、運行の用に供してはいけません。契約は自動車1両ごとに結びます。この契約は、保有者が第3条の賠償責任を負ったときに、それによる保有者の損害と、運転者も被害者に賠償責任を負う場合の運転者の損害をてん補するものです。保険会社は、政令で定める正当な理由がある場合を除き、契約の締結を拒んではいけません。組合も同じですが、このほか第24条第2項に掲げる場合、つまり農業協同組合法などそれぞれの組合の根拠となる法律の特定の規定に違反することになる場合も、拒むことができます。(第五条第一項, 第十二条第一項, 第十一条第一項, 第十一条第二項, 第二十三条の三第一項, 第二十四条第一項, 第二十四条第二項)(根拠条文)
- 保険会社は、保険料の支払があったときは、保険契約者に自動車損害賠償責任保険証明書を交付します。責任共済では、組合が自動車損害賠償責任共済証明書を交付します。自動車は、この証明書を備え付けなければ運行の用に供してはいけません。検査対象外軽自動車、原動機付自転車、締約国登録自動車は、さらに保険標章(責任共済では共済標章)を表示しなければ運行の用に供してはいけません。(第七条第一項, 第八条第一項, 第九条の二第一項, 第九条の三第一項, 第九条の四第一項, 第九条の五第一項, 第九条の五第二項)(根拠条文)
- 第3条により保有者の損害賠償責任が発生したときは、被害者は、保険会社(責任共済では組合)に対して直接、保険金額の限度で損害賠償額の支払を請求できます。保険金額は政令で定めます。責任保険の契約のある自動車の運行で保有者が他人を死傷させたときは、被害者は、政令で定める金額を仮渡金として支払うよう請求することもでき、保険会社は遅滞なく支払わなければなりません。仮渡金が支払うべき損害賠償額を超えたときは、保険会社はその超えた分の返還を請求できます。これらの請求権は差し押さえることができません。被害者またはその法定代理人が損害と保有者を知った時から3年で、時効によって消滅します。(第十六条第一項, 第十三条第一項, 第十七条第一項, 第十七条第二項, 第十七条第三項, 第十八条第一項, 第十九条第一項, 第二十三条の三第一項)(根拠条文)
- 政府は、自動車損害賠償保障事業として、次の場合に、被害者の請求により、政令で定める金額の限度で損害をてん補します。自動車の保有者が明らかでないために、被害者が第3条によるを請求できない場合です。また、責任保険の被保険者や責任共済の被共済者でない者が第3条による賠償責任を負う場合です。ただし、第10条の自動車の運行による責任の場合は除きます。被害者が健康保険法、労働者災害補償保険法その他政令で定める法令によって相当する給付を受けるべき場合は、その給付の額の限度でてん補しません。保険のない者が責任を負う場合で、被害者がその者から賠償を受けたときも、その額の限度でてん補しません。政府に対するこの請求権は差し押さえることができず、行使できる時から3年で時効によって消滅します。(第七十一条第一項, 第七十二条第一項第一号, 第七十二条第一項第二号, 第七十三条第一項, 第七十三条第二項, 第七十四条第一項, 第七十五条第一項)(根拠条文)
自動車損害賠償責任保険自動車損害賠償責任保険会社に対する損害賠償額の請求仮渡金自動車損害賠償保障事業自動車損害賠償責任保険証明書適用除外罰則
目次
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- 第一章 総則第一条〜第二条(2条)
- 第二章 自動車損害賠償責任第三条〜第四条(2条)
- 第三章 自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済第五条〜第四十条から第七十条まで(77条)
- 第一節 自動車損害賠償責任保険契約又は自動車損害賠償責任共済契約の締結強制第五条〜第十条の二(11条)
- 第二節 自動車損害賠償責任保険契約及び自動車損害賠償責任共済契約第十一条〜第二十三条の四(25条)
- 第二節の二 指定紛争処理機関第二十三条の五〜第二十三条の二十三(19条)
- 第三節 自動車損害賠償責任保険事業及び自動車損害賠償責任共済事業第二十四条〜第三十条(14条)
- 第四節 自動車損害賠償責任保険審議会第三十一条〜第四十条から第七十条まで(8条)
- 第四章 自動車事故対策事業第七十一条〜第八十二条の二(17条)
- 第一節 総則第七十一条
- 第二節 自動車損害賠償保障事業第七十二条〜第七十七条(7条)
- 第三節 被害者保護増進等事業第七十七条の二〜第七十七条の四(3条)
- 第四節 雑則第七十八条〜第八十二条の二(6条)
- 第五章 雑則第八十二条の三〜第八十六条(7条)
- 第六章 罰則第八十六条の二〜第九十二条(10条)
改正
法令は、別の法令によってされます。この法令には、施行を待つ改正はありません。最近の改正は下にあります。改正のページには、e-Govが記録するすべての改正を載せ、変更内容まで収録している改正は条文ごとに日本語と英語で示します。
施行済みの改正 15件
2026年4月1日
このサイトの条文
地方税法等の一部を改正する法律
2025年6月1日
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2024年4月1日
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2023年6月16日
デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律
2023年4月1日
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2023年1月1日
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2022年9月1日
自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律
2022年6月17日
刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律
2022年6月15日
自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律
2020年4月1日
地方税法等の一部を改正する法律
誰に適用されるか
適用される
- 自動車(原動機付自転車を含みます)を運行の用に供する者。その自動車に責任保険または責任共済の契約が結ばれ、証明書が備え付けられ、必要な場合は標章が表示されていなければ、運行の用に供してはいけません。(第二条第一項, 第五条第一項, 第八条第一項, 第九条の三第一項)(根拠条文)
- 自己のために自動車を運行の用に供する者。その運行で他人を死傷させたときは、第3条に定める3つの事項を証明しない限り、賠償責任を負います。また、保有者(自動車の所有者その他自動車を使用する権利を持つ者で、自己のために運行の用に供するもの)。責任保険や責任共済は、保有者が第3条の賠償責任を負ったときに、その賠償による保有者の損害と、運転者(他人のために自動車の運転やその補助をする者)も被害者に賠償責任を負うときの運転者の損害をてん補します。(第三条第一項, 第二条第三項, 第二条第四項, 第十一条第一項)(根拠条文)
続き
- 自動車の運行によって生命または身体を害された被害者。保有者に第3条の賠償責任が発生したときは、保険会社や組合に請求できます。保有者が明らかでないときや、賠償責任を負う者が責任保険などの被保険者でないときは、自動車損害賠償保障事業による損害のてん補を政府に請求できます。(第十六条第一項, 第十七条第一項, 第七十二条第一項第一号, 第七十二条第一項第二号)(根拠条文)
- 責任保険を引き受ける損害保険会社と外国損害保険会社等、そして責任共済の事業を行う農業協同組合等、消費生活協同組合等、事業協同組合等。政令で定める正当な理由がある場合(組合は第24条第2項の場合も)を除いて契約の締結を拒めず、支払基準に従って支払わなければなりません。保険料率と共済掛金率は、能率的な経営の下での適正な原価を償う範囲で、できる限り低くなければなりません。(第六条第一項, 第六条第二項, 第二十四条第一項, 第二十四条第二項, 第十六条の三第一項, 第二十三条の三第一項, 第二十五条第一項)(根拠条文)
- 保険会社、組合、そして第10条の自動車のうち政令で定めるものを運行の用に供する者は、政令で定める金額を自動車事故対策事業賦課金として政府に納めなければなりません。納めないときは、国土交通大臣が督促し、国税滞納処分の例によって処分します。(第七十八条第一項, 第八十条第一項, 第八十条第四項)(根拠条文)
特例と適用除外(6)
- 第5条と第7条から第9条の5までの規定は、国その他の政令で定める者が政令で定める業務や用途のために運行の用に供する自動車には適用されません。道路以外の場所だけで運行の用に供する自動車にも適用されません。ここでいう道路とは、道路法による道路、道路運送法による自動車道、その他の一般交通の用に供する場所のことです。前者のうち検査対象外軽自動車と原動機付自転車(政令で定めるものを除きます)は、国土交通大臣が保有者に交付する保険・共済除外標章を表示しなければ、運行の用に供してはいけません。(第十条第一項, 第十条の二第一項, 第十条の二第三項)(根拠条文)
- 保険会社がてん補の責任を免れるのは、保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害の場合と、第82条の3に定める重複契約の場合だけです。悪意による損害でも、被害者は保険会社に直接請求でき、支払った保険会社はその額について政府に補償を求めることができます。政府は、その限度で、被害者が保険契約者や被保険者に対して持つ権利を取得します。(第十四条第一項, 第十六条第一項, 第十六条第四項, 第七十六条第二項, 第八十二条の三第一項)(根拠条文)
- 1両の自動車に2つ以上の責任保険や責任共済の契約があるときは、締結した時が最も早い契約の期間と重なる期間に起きた事故については、それ以外の契約の保険会社や組合は責任を免れます。最も早い契約が2つ以上あるときは、各契約は、支払うべき金額を契約の数で割った額を超える部分について責任を免れます。(第八十二条の三第一項, 第八十二条の三第二項)(根拠条文)
- 保有者の損害賠償責任が発生しなかったのに保険会社が仮渡金を支払っていたときは、保険会社はその額について政府に補償を求めることができます。政府は被害者にその返還を請求できます。(第十七条第四項, 第七十六条第三項)(根拠条文)
- 告知義務違反により保険会社が責任保険の契約をしたときは、その解除は、保険契約者が通知を受けた日から7日後に効力を生じます。それより前に保険事故が起きたときは、保険会社は損害をてん補しますが、てん補した金額の支払を保険契約者に請求できます。保険期間中に危険が増加したのに保険契約者や被保険者がその通知を怠り、その後に保険事故が起きた場合も、同じように請求できます。(第二十一条第一項, 第二十一条第二項, 第二十二条第二項, 第二十二条第三項)(根拠条文)
- 責任保険や責任共済の契約は、合意によって解除することも、解除条件を付けることもできません。契約の当事者が解除できるのは、自動車が第10条の自動車になった場合や、同じ自動車に終期が同じかそれより遅い別の契約がある場合など、第20条の2に掲げる場合に限られます。(第二十条の二第一項, 第二十条の二第二項, 第二十三条の三第一項)(根拠条文)
どのように守らせるか(8)
- 第5条に違反して、責任保険や責任共済の契約のない自動車を運行の用に供した者は、1年以下のまたは50万円以下のに処せられます。法人や人の業務に関して従業者などが違反したときは、その法人や人にも罰金刑が科されます。(第八十六条の三第一項第一号, 第九十条第一項)(根拠条文)
- 自動車損害賠償責任保険証明書を備え付けずに自動車を運行の用に供したり、必要な保険標章を表示せずに運行の用に供したり、標章を交付された車両以外の車両に表示したりした者は、30万円以下の罰金に処せられます。有効期間を過ぎた保険標章を表示した者は、20万円以下の罰金です。国土交通大臣は、この法律の目的のために必要があると認めるときは、職員に、道路など自動車がある場所で、運転者に保険や共済の証明書の提示を求めさせることができます。提示を拒んだり妨げたりした者は、20万円以下の罰金に処せられます。(第八十八条第一項第一号, 第九条の三第二項, 第九条の三第三項, 第八十九条第一項第一号, 第八十五条第一項, 第八十九条第一項第三号)(根拠条文)
- 自動車検査など、第9条に掲げる道路運送車両法などの処分を受けようとする者は、行政庁に自動車損害賠償責任保険証明書も提示しなければなりません。場合によっては、証明書の写しの提出や、保険会社を通じた電子的な情報提供で代えることができます。証明書の提示も写しの提出もないときは、行政庁は処分をしません。検査対象外軽自動車以外の自動車では、証明書の保険期間が、や臨時運行の許可などの有効期間が満了する日までの期間の全部と重ならない場合も、同じです。(第九条第一項, 第九条第二項, 第九条第三項, 第九条第五項)(根拠条文)
- 行使の目的で保険標章、共済標章または保険・共済除外標章を偽造したり変造したり、偽造・変造されたものを使用したりした者は、3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金に処せられ、またはその両方が科されます。行使の目的でこれらに紛らわしい外観の物を作ったり使ったりした者や、正当な理由なく保険標章や共済標章を他人に交付した者は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられます。偽りその他不正の手段で証明書や標章の交付や再交付を受けた者は、6月以下の拘禁刑または20万円以下の罰金に処せられます。(第八十四条の二第一項, 第八十六条の二第一項, 第八十四条の二第二項, 第八十四条の二第三項, 第八十六条の三第二項, 第八十七条第一項)(根拠条文)
- 政府は、自動車損害賠償保障事業として損害をてん補したときは、支払った金額の限度で、被害者がの責任を負う者に対して持つ権利を取得します。賠償責任を負う者が責任保険などの被保険者でないためにてん補したときは、政府はその者から政令で定める金額を過怠金として徴収できます。過怠金が納められないときは、国土交通大臣が10日以上先の期限を定めて督促し、期限までに納められなければ、国税滞納処分の例によって処分します。(第七十六条第一項, 第七十九条第一項, 第八十条第一項, 第八十条第二項, 第八十条第四項)(根拠条文)
- 保険会社は、死亡、後遺障害、傷害の別に国土交通大臣とが定める支払基準に従って保険金等を支払わなければなりません。支払わないこととしたときは、その理由を書いた書面を請求者に交付しなければなりません。支払が支払基準に従っていないときなどは、被保険者や被害者は国土交通大臣に申し出ることができます。国土交通大臣は保険会社に指示をし、正当な理由なく従わないときは公表でき、その後も措置をとらないときは命令できます。命令に違反した者は100万円以下の罰金に処せられます。(第十六条の三第一項, 第十六条の四第三項, 第十六条の七第一項, 第十六条の八第一項, 第十六条の八第三項, 第十六条の八第四項, 第八十七条の二第一項)(根拠条文)
- 保険会社は、保険金等の請求があったときは、遅滞なく、支払基準の概要などを書いた書面を請求者に交付しなければなりません。支払をしたときは、支払った金額、後遺障害の等級、その等級と判断した理由などを書いた書面を交付しなければなりません。請求者は書面で説明を求めることができ、保険会社は30日以内に書面で説明しなければなりません。第三者の権利利益を不当に害するおそれがあるなど正当な理由があれば説明しないことができますが、その旨と理由を書面で伝えなければなりません。期間内に説明できないときは、その理由と期限を書面で知らせなければなりません。(第十六条の四第一項, 第十六条の四第二項, 第十六条の五第一項, 第十六条の五第二項, 第十六条の五第三項, 第十六条の五第四項)(根拠条文)
- 保険金等や共済金等の支払に関する紛争は、紛争の当事者である保険会社、組合、被保険者、被共済者または被害者が申請して、国土交通大臣と内閣総理大臣が指定した指定紛争処理機関の調停を受けることができます。解決の見込みがないとして紛争処理が打ち切られた場合、申請した当事者が通知を受けた日から1か月以内に同じ請求について訴えを提起すれば、時効の完成猶予については、紛争処理を申請した時に訴えを提起したものとみなされます。(第二十三条の五第一項, 第二十三条の六第一項第一号, 第二十三条の十四第一項)(根拠条文)