第五款 納税の猶予
第六十条の二第一項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)に規定する国外転出(以下この条において「国外転出」という。)をする居住者でその国外転出の時に有している同項に規定する有価証券等又は契約を締結している第六十条の二第二項に規定する未決済信用取引等若しくは同条第三項に規定する未決済デリバティブ取引(以下この項及び第三項において「対象資産」という。)につきこれらの規定の適用を受けたもの(その相続人を含む。)が当該国外転出の日の属する年分の所得税で第百二十八条(確定申告による納付)又は第百二十九条(死亡の場合の確定申告による納付)の規定により納付すべきものの額のうち、当該対象資産(当該年分の所得税に係る確定申告期限まで引き続き有し、又は決済をしていないものに限る。以下この項、第五項及び第六項において「適用資産」という。)に係る納税猶予分の所得税額(第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額をいう。以下この条において同じ。)に相当する所得税については、当該居住者が、当該国外転出の時までに国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をし、かつ、政令で定めるところにより当該年分の所得税に係る確定申告期限までに当該納税猶予分の所得税額に相当する担保を供した場合に限り、第百二十八条又は第百二十九条の規定にかかわらず、同日から満了基準日(当該国外転出の日から五年を経過する日又は帰国等の場合(第六十条の二第六項第一号又は第三号に掲げる場合その他政令で定める場合をいう。次項において同じ。)に該当することとなつた日のいずれか早い日をいう。第五項において同じ。)の翌日以後四月を経過する日まで、その納税を猶予する。
当該国外転出の日の属する年分の第百二十条第一項第三号(確定所得申告)に掲げる金額
当該適用資産につき第六十条の二第一項から第三項までの規定の適用がないものとした場合における当該国外転出の日の属する年分の第百二十条第一項第三号に掲げる金額
第一項(前項の規定により適用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、第一項の規定の適用を受けようとする個人の確定申告書に、同項の規定の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、第六十条の二第一項から第三項までの規定により行われたものとみなされた対象資産の譲渡又は決済の明細及び納税猶予分の所得税額の計算に関する明細その他財務省令で定める事項を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。
税務署長は、次に掲げる場合には、納税猶予分の所得税額に相当する所得税に係る第一項の規定による納税の猶予に係る期限を繰り上げることができる。この場合においては、国税通則法第四十九条第二項及び第三項(納税の猶予の取消し)の規定を準用する。
第一項の規定の適用を受ける個人が同項に規定する担保について国税通則法第五十一条第一項(担保の変更等)の規定による命令に応じない場合
当該個人から提出された継続適用届出書に記載された事項と相違する事実が判明した場合
前二号に掲げる場合のほか、当該個人が国税通則法第百十七条第一項に規定する納税管理人を解任したことその他の政令で定める事由が生じた場合
納税猶予分の所得税額に相当する所得税並びに当該所得税に係る利子税及び延滞税の徴収を目的とする国の権利の時効については、次項第四号の規定により読み替えて適用される国税通則法第七十三条第四項(時効の完成猶予及び更新)の規定の適用がある場合を除き、継続適用届出書の提出があつた時から当該継続適用届出書の提出期限までの間は完成せず、当該提出期限の翌日から新たにその進行を始めるものとする。
第一項の規定の適用があつた場合における所得税に係る延滞税については、その所得税の額のうち納税猶予分の所得税額とその他のものとに区分し、更に当該納税猶予分の所得税額を第五号に規定する納税の猶予に係る期限が異なるものごとに区分して、それぞれの税額ごとに国税通則法の延滞税に関する規定を適用する。
第一項の規定の適用を受けようとする個人が非上場株式等(株式で金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所に上場されていないことその他財務省令で定める要件を満たすもの及び合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分で財務省令で定める要件を満たすものをいう。次条第十三項第二号において同じ。)を担保として供する場合には、国税通則法第五十条第二号(担保の種類)中「有価証券で税務署長等(国税に関する法律の規定により国税庁長官又は国税局長が担保を徴するものとされている場合には、国税庁長官又は国税局長。以下この条及び次条において同じ。)が確実と認めるもの」とあるのは、「有価証券及び合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分(質権その他の担保権の目的となつていないことその他の財務省令で定める要件を満たすものに限る。)」とする。
第一項の規定による納税の猶予を受けた所得税については、国税通則法第五十二条第四項(担保の処分)中「認めるときは、税務署長等」とあるのは「認めるとき(所得税法第百三十七条の二第一項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定による納税の猶予の担保として同条第十一項第二号に規定する非上場株式等が提供された場合には、当該認めるとき、又は当該非上場株式等を換価に付しても買受人がないとき)は、税務署長等」と、国税徴収法第四十八条第一項(超過差押及び無益な差押の禁止)中「財産は」とあるのは「財産(所得税法第百三十七条の二第一項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定による納税の猶予の担保として同条第十一項第二号に規定する非上場株式等が提供された場合において、当該非上場株式等を換価に付しても買受人がないときにおける当該担保を提供した個人の他の財産を除く。)は」とする。
第一項の規定による納税の猶予を受けた所得税については、国税通則法第六十四条第一項(利子税)及び第七十三条第四項中「延納」とあるのは、「延納(所得税法第百三十七条の二第一項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定による納税の猶予を含む。)」とする。
第一項の規定の適用に係る納税の猶予に係る期限までに同項の規定の適用を受ける国外転出をした者が死亡した場合には、当該国外転出をした者に係る納税猶予分の所得税額に係る納付の義務は、当該国外転出をした者の相続人が承継する。この場合において、必要な事項は、政令で定める。