第一節 相続財産の破産
相続財産についてのこの法律の規定による破産手続開始の申立ては、被相続人の相続開始の時の住所又は相続財産に属する財産が日本国内にあるときに限り、することができる。
相続財産に関する破産事件は、被相続人の相続開始の時の住所地を管轄する地方裁判所が管轄する。
相続財産については、相続債権者又は受遺者のほか、相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人又は遺言執行者(相続財産の管理に必要な行為をする権利を有する遺言執行者に限る。以下この節において同じ。)も、破産手続開始の申立てをすることができる。
次の各号に掲げる者が相続財産について破産手続開始の申立てをするときは、それぞれ当該各号に定める事実を疎明しなければならない。
相続債権者又は受遺者 その有する債権の存在及び当該相続財産の破産手続開始の原因となる事実
相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人又は遺言執行者 当該相続財産の破産手続開始の原因となる事実
相続財産については、民法第九百四十一条第一項の規定により財産分離の請求をすることができる間に限り、破産手続開始の申立てをすることができる。ただし、限定承認又は財産分離があったときは、相続債権者及び受遺者に対する弁済が完了するまでの間も、破産手続開始の申立てをすることができる。
相続財産についての破産手続開始の決定は、限定承認又は財産分離を妨げない。ただし、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定し、又は破産手続終結の決定があるまでの間は、限定承認又は財産分離の手続は、中止する。
相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、相続債権者及び受遺者は、相続人について破産手続開始の決定があったときでも、その債権の全額について破産手続に参加することができる。
相続財産について破産手続開始の決定があったときは、相続債権者の債権は、受遺者の債権に優先する。
相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、相続人が被相続人に対して有していた権利は、消滅しなかったものとみなす。この場合においては、相続人は、被相続人に対して有していた債権について、相続債権者と同一の権利を有する。
前項に規定する場合において、相続人が相続債権者に対して自己の固有財産をもって弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、相続人は、その出えんの額の範囲内において、当該相続債権者が被相続人に対して有していた権利を行使することができる。