第三章 差止請求
第一節 差止請求権等
適格消費者団体は、事業者、受託者等又は事業者の代理人若しくは受託者等の代理人(以下この項及び第四十三条第二項第一号において「事業者等」と総称する。)が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第四項までに規定する行為(同条第二項に規定する行為にあっては、同項ただし書の場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者等に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法及び商法以外の他の法律の規定によれば当該行為を理由として当該消費者契約を取り消すことができないときは、この限りでない。
適格消費者団体は、次の各号に掲げる者が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第四項までに規定する行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該各号に定める者に対し、当該各号に掲げる者に対する是正の指示又は教唆の停止その他の当該行為の停止又は予防に必要な措置をとることを請求することができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
適格消費者団体は、事業者又はその代理人が、消費者契約を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で第八条から第十条までに規定する消費者契約の条項(第八条第一項第一号又は第二号に掲げる消費者契約の条項にあっては、同条第二項の場合に該当するものを除く。次項及び第十二条の三第一項において同じ。)を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者又はその代理人に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法及び商法以外の他の法律の規定によれば当該消費者契約の条項が無効とされないときは、この限りでない。
前条、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第三十四条第一項、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)第五十八条の十八から第五十八条の二十四まで又は食品表示法(平成二十五年法律第七十号)第十一条の規定による請求(以下「差止請求」という。)は、次に掲げる場合には、することができない。
訴えを却下した確定判決
適格消費者団体は、事業者又はその代理人が、消費者契約を締結するに際し、不特定かつ多数の消費者との間で第八条から第十条までに規定する消費者契約の条項を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあると疑うに足りる相当の理由があるときは、内閣府令で定めるところにより、その事業者又はその代理人に対し、その理由を示して、当該条項を開示するよう要請することができる。ただし、当該事業者又はその代理人が、当該条項を含む消費者契約の条項をインターネットの利用その他の適切な方法により公表しているときは、この限りでない。
第二節 適格消費者団体
第一款 適格消費者団体の認定等
前項の認定を受けようとする者は、内閣総理大臣に認定の申請をしなければならない。
特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人であること。
消費生活に関する情報の収集及び提供並びに消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の不特定かつ多数の消費者の利益の擁護を図るための活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。
差止請求関係業務の実施に係る組織、差止請求関係業務の実施の方法、差止請求関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持の方法その他の差止請求関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。
その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。
差止請求関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。
当該理事会の決議が理事の過半数又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。
理事の数のうちに占める特定の事業者(当該事業者との間に発行済株式の総数の二分の一以上の株式の数を保有する関係その他の内閣府令で定める特別の関係のある者を含む。)の関係者(当該事業者及びその役員又は職員である者その他の内閣府令で定める者をいう。(2)において同じ。)の数の割合が三分の一を超えていること。
理事の数のうちに占める同一の業種(内閣府令で定める事業の区分をいう。)に属する事業を行う事業者の関係者の数の割合が二分の一を超えていること。
弁護士、司法書士その他の法律に関する専門的な知識経験を有する者として内閣府令で定める条件に適合する者
差止請求関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。
差止請求関係業務以外の業務を行う場合には、その業務を行うことによって差止請求関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
次の各号のいずれかに該当する者は、第一項の認定を受けることができない。
この法律、消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(平成二十五年法律第九十六号。以下「消費者裁判手続特例法」という。)その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない法人
暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある法人
政治団体(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条第一項に規定する政治団体をいう。)
役員のうちに次のイからハまでのいずれかに該当する者のある法人
拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律、消費者裁判手続特例法その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
前条第二項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。
名称及び住所並びに代表者の氏名
差止請求関係業務を行おうとする事務所の所在地
前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
定款
不特定かつ多数の消費者の利益の擁護を図るための活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類
差止請求関係業務に関する業務計画書
差止請求関係業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類
業務規程
役員、職員及び専門委員に関する次に掲げる書類
氏名、役職及び職業を記載した書類
住所、略歴その他内閣府令で定める事項を記載した書類
前条第三項第一号の法人の社員について、その数及び個人又は法人その他の団体の別(社員が法人その他の団体である場合にあっては、その構成員の数を含む。)を記載した書類
最近の事業年度における財産目録、貸借対照表又は次のイ若しくはロに掲げる法人の区分に応じ、当該イ若しくはロに定める書類(第三十一条第一項において「財産目録等」という。)その他の経理的基礎を有することを証する書類
特定非営利活動促進法第二条第二項に規定する特定非営利活動法人 同法第二十七条第三号に規定する活動計算書
一般社団法人又は一般財団法人 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十三条第二項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する損益計算書(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第五条に規定する公益認定を受けている場合にあっては、内閣府令で定める書類)
前条第五項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面
差止請求関係業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類
その他内閣府令で定める書類
内閣総理大臣は、前条の規定による認定の申請をした者について第十三条第五項第三号、第四号又は第六号ハに該当する疑いがあると認めるときは、警察庁長官の意見を聴くものとする。
第十三条第一項の認定の有効期間は、当該認定の日から起算して六年とする。
適格消費者団体である法人が他の適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による適格消費者団体としての地位を承継する。
第二款 差止請求関係業務等
適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を他の適格消費者団体に通知するとともに、その旨及びその内容その他内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。この場合において、当該適格消費者団体が、当該通知及び報告に代えて、すべての適格消費者団体及び内閣総理大臣が電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、当該通知及び報告をしたものとみなす。
差止請求に係る訴えの提起(和解の申立て、調停の申立て又は仲裁合意を含む。)又は仮処分命令の申立てがあったとき。
差止請求に係る判決の言渡し(調停の成立、調停に代わる決定の告知又は仲裁判断を含む。)又は差止請求に係る仮処分命令の申立てについての決定の告知があったとき。
差止請求に係る裁判上の和解が成立したとき。
差止請求に係る裁判外の和解が成立したときその他差止請求に関する相手方との間の協議が調ったとき、又はこれが調わなかったとき。
差止請求に関し、請求の放棄、和解、上訴の取下げその他の内閣府令で定める手続に係る行為であって、それにより確定判決及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるものをしようとするとき。
その他差止請求に関し内閣府令で定める手続に係る行為がされたとき。
適格消費者団体について、第十二条の二第一項第二号本文の確定判決等で強制執行をすることができるものが存する場合には、当該適格消費者団体は、当該確定判決等に係る差止請求権を放棄することができない。
適格消費者団体は、差止請求権の行使(差止請求権不存在等確認請求に係る訴訟を含む。第二十八条において同じ。)に関し、消費者から収集した消費者の被害に関する情報をその相手方その他の第三者が当該被害に係る消費者を識別することができる方法で利用するに当たっては、あらかじめ、当該消費者の同意を得なければならない。
差止請求に係る判決に基づいて民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百七十二条第一項の規定により命じられた金銭の支払として財産上の利益を受けるとき。
差止請求に係る判決に基づく強制執行の執行費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。
差止請求に係る相手方の債務の履行を確保するために約定された違約金の支払として財産上の利益を受けるとき。
適格消費者団体は、その定款において、差止請求関係業務を廃止し、又は第十三条第一項の認定の失効(差止請求関係業務の廃止によるものを除く。)若しくは取消しにより差止請求関係業務を終了した場合において、積立金(前項の規定により積み立てられた金額をいう。)に残余があるときは、その残余に相当する金額を、他の適格消費者団体(第三十五条の規定により差止請求権を承継した適格消費者団体がある場合にあっては、当該適格消費者団体)があるときは当該他の適格消費者団体に、これがないときは第十三条第三項第二号に掲げる要件に適合する消費者団体であって内閣総理大臣が指定するもの又は国に帰属させる旨を定めておかなければならない。
第三款 監督
適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、その業務及び経理に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。
適格消費者団体の事務所には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を備え置かなければならない。
定款
業務規程
役職員等名簿(役員、職員及び専門委員の氏名、役職及び職業その他内閣府令で定める事項を記載した名簿をいう。)
適格消費者団体の社員について、その数及び個人又は法人その他の団体の別(社員が法人その他の団体である場合にあっては、その構成員の数を含む。)を記載した書類
収入の明細その他の資金に関する事項、寄附金に関する事項その他の経理に関する内閣府令で定める事項を記載した書類
差止請求関係業務以外の業務を行う場合には、その業務の種類及び概要を記載した書類
前項各号に掲げる書類が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
適格消費者団体は、毎事業年度終了後三月以内に、第二項第三号から第六号までに掲げる書類を内閣総理大臣に提出しなければならない。
内閣総理大臣は、適格消費者団体が、第十三条第三項第二号から第七号までに掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該適格消費者団体に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、適格消費者団体が第十三条第五項第三号から第六号までのいずれかに該当するに至ったと認めるとき、適格消費者団体又はその役員、職員若しくは専門委員が差止請求関係業務の遂行に関しこの法律の規定に違反したと認めるとき、その他適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該適格消費者団体に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第十三条第三項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。
第十二条の二第一項第二号本文の確定判決等に係る訴訟等の手続に関し、当該訴訟等の当事者である適格消費者団体が、差止請求に係る相手方と通謀して請求の放棄又は不特定かつ多数の消費者の利益を害する内容の和解をしたとき、その他不特定かつ多数の消費者の利益に著しく反する訴訟等の追行を行ったと認められるとき。
第十二条の二第一項第二号本文の確定判決等に係る強制執行に必要な手続に関し、当該確定判決等に係る訴訟等の当事者である適格消費者団体がその手続を怠ったことが不特定かつ多数の消費者の利益に著しく反するものと認められるとき。
前各号に掲げるもののほか、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき。
第十二条の二第一項第二号本文に掲げる場合であって、当該他の適格消費者団体に係る第十三条第一項の認定が、第二十二条各号に掲げる事由により既に失効し、又は第一項各号に掲げる事由(当該確定判決等に係る訴訟等の手続に関する同項第四号に掲げる事由を除く。)若しくは消費者裁判手続特例法第九十二条第二項各号に掲げる事由により既に取り消されている場合においては、内閣総理大臣は、当該他の適格消費者団体につき当該確定判決等に係る訴訟等の手続に関し第一項第四号に掲げる事由があったと認められるとき(前項の規定により同号に掲げる事由があるものとみなすことができる場合を含む。)は、当該他の適格消費者団体であった法人について、その旨の認定をすることができる。
内閣総理大臣は、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、指定適格消費者団体に係る指定を取り消すことができる。
従前の適格消費者団体のうち指定適格消費者団体であったもの(当該確定判決等の当事者であったものを除く。)について、前項第一号の規定による指定の取消しの事由となった認定取消処分等が取り消され、若しくはその認定取消処分等の取消判決等が確定したとき、又は前号の規定による指定の取消処分が取り消され、若しくはその取消処分の取消判決等が確定したとき。
内閣総理大臣は、第四項第二号又は第五項第二号に掲げる事由により指定適格消費者団体に係る指定を取り消すときは、当該指定適格消費者団体の承継していた差止請求権を承継すべき適格消費者団体として当該従前の適格消費者団体を新たに指定するものとする。
第四款 補則
内閣総理大臣は、この法律の実施のため必要があると認めるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。
次の各号に掲げる者は、適格消費者団体についてそれぞれ当該各号に定める事由があると疑うに足りる相当な理由があるため、内閣総理大臣が当該適格消費者団体に対して適当な措置をとることが必要であると認める場合には、内閣総理大臣に対し、その旨の意見を述べることができる。
経済産業大臣 第十三条第三項第二号に掲げる要件に適合しない事由又は第三十四条第一項第四号に掲げる事由
警察庁長官 第十三条第五項第三号、第四号又は第六号ハに該当する事由
第三節 訴訟手続等の特例
差止請求に係る訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。
差止請求に係る訴訟については、民事訴訟法第五条(第五号に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。
次の各号に掲げる規定による差止請求に係る訴えは、当該各号に定める行為があった地を管轄する裁判所にも提起することができる。
不当景品類及び不当表示防止法第三十四条第一項 同項に規定する事業者の行為
特定商取引に関する法律第五十八条の十八から第五十八条の二十四まで これらの規定に規定する当該差止請求に係る相手方である販売業者、役務提供事業者、統括者、勧誘者、一般連鎖販売業者、関連商品の販売を行う者、業務提供誘引販売業を行う者又は購入業者(同法第五十八条の二十一第二項の規定による差止請求に係る訴えにあっては、勧誘者)の行為
食品表示法第十一条 同条に規定する食品関連事業者の行為
裁判所は、差止請求に係る訴えが提起された場合であって、他の裁判所に同一又は同種の行為の差止請求に係る訴訟が係属している場合においては、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該訴えに係る訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は他の管轄裁判所に移送することができる。
内閣総理大臣は、現に係属する差止請求に係る訴訟につき既に他の適格消費者団体を当事者とする第十二条の二第一項第二号本文の確定判決等が存する場合において、当該他の適格消費者団体につき当該確定判決等に係る訴訟等の手続に関し第三十四条第一項第四号に掲げる事由があると疑うに足りる相当な理由がある場合(同条第二項の規定により同号に掲げる事由があるものとみなすことができる場合を含む。)であって、同条第一項の規定による第十三条第一項の認定の取消し又は第三十四条第三項の規定による認定(次項において「認定の取消し等」という。)をするかどうかの判断をするため相当の期間を要すると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、当該差止請求に係る訴訟が係属する裁判所(以下この条において「受訴裁判所」という。)に対し、その旨及びその判断に要すると認められる期間を通知するものとする。