第六章 刑事訴訟手続の特例
前項の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。
裁判所は、秘匿決定をした事件について、営業秘密構成情報特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至ったとき、又は刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十二条の規定により罰条が撤回若しくは変更されたため第一項に規定する事件に該当しなくなったときは、決定で、秘匿決定の全部又は一部及び当該秘匿決定に係る前項の決定(以下「呼称等の決定」という。)の全部又は一部を取り消さなければならない。
秘匿決定があったときは、刑事訴訟法第二百九十一条第一項の起訴状の朗読は、営業秘密構成情報特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。この場合においては、検察官は、被告人に起訴状を示さなければならない。
刑事訴訟法第二百七十一条の二第四項の規定による措置がとられた場合(当該措置に係る個人特定事項(同法第二百一条の二第一項に規定する個人特定事項をいう。以下この項において同じ。)の全部について同法第二百七十一条の五第一項の決定があった場合を除く。)における前項後段の規定の適用については、同項後段中「起訴状」とあるのは、当該措置に係る個人特定事項の一部について同法第二百七十一条の五第一項の決定があった場合にあっては「起訴状抄本等(同法第二百七十一条の二第二項に規定する起訴状抄本等をいう。)及び同法第二百七十一条の五第四項に規定する書面」と、それ以外の場合にあっては「起訴状抄本等(同法第二百七十一条の二第二項に規定する起訴状抄本等をいう。)」とする。
裁判長は、秘匿決定があった場合において、訴訟関係人のする尋問又は陳述が営業秘密構成情報特定事項にわたるときは、これを制限することにより、犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合又は被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、当該尋問又は陳述を制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、同様とする。
刑事訴訟法第二百九十五条第五項及び第六項の規定は、前項の規定による命令を受けた検察官又は弁護士である弁護人がこれに従わなかった場合について準用する。
裁判所は、秘匿決定をした場合において、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人を尋問するとき、又は被告人が任意に供述をするときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人の尋問若しくは供述又は被告人に対する供述を求める行為若しくは被告人の供述が営業秘密構成情報特定事項にわたり、かつ、これが公開の法廷で明らかにされることにより当該営業秘密に基づく被害者、被告人その他の者の事業活動に著しい支障を生ずるおそれがあり、これを防止するためやむを得ないと認めるときは、公判期日外において当該尋問又は刑事訴訟法第三百十一条第二項及び第三項に規定する被告人の供述を求める手続をすることができる。
刑事訴訟法第百五十七条第一項及び第二項、第百五十八条第二項及び第三項、第百五十九条第一項、第二百七十三条第二項、第二百七十四条並びに第三百三条の規定は、前項の規定による被告人の供述を求める手続について準用する。この場合において、同法第百五十七条第一項、第百五十八条第三項及び第百五十九条第一項中「被告人又は弁護人」とあるのは「弁護人、共同被告人又はその弁護人」と、同法第百五十八条第二項中「被告人及び弁護人」とあるのは「弁護人、共同被告人及びその弁護人」と、同法第二百七十三条第二項中「公判期日」とあるのは「不正競争防止法第二十六条第一項の規定による被告人の供述を求める手続の期日」と、同法第二百七十四条中「公判期日」とあるのは「不正競争防止法第二十六条第一項の規定による被告人の供述を求める手続の日時及び場所」と、同法第三百三条中「証人その他の者の尋問、検証、押収(電磁的記録提供命令(第百二条の二第一項第一号イに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)を含む。)、捜索及び電磁的記録提供命令(同号ロに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)(当該電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させることを含む。)の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録並びに押収した物及び電磁的記録提供命令(同号ロに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)により提供させた電磁的記録」とあるのは「不正競争防止法第二十六条第一項の規定による被告人の供述を求める手続の結果を記載した書面」と、「証拠書類又は証拠物」とあるのは「証拠書類」と読み替えるものとする。
秘匿決定があったときは、刑事訴訟法第三百五条第一項若しくは第二項の規定による証拠書類の朗読又は同法第三百七条の二第一項若しくは第二項の規定による電磁的記録の内容の朗読は、営業秘密構成情報特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。
検察官又は弁護人は、第二十三条第一項に規定する事件について、刑事訴訟法第二百九十九条第一項の規定により証拠書類又は証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、第二十三条第一項又は第三項に規定する営業秘密を構成する情報の全部又は一部を特定させることとなる事項が明らかにされることにより当該営業秘密に基づく被害者、被告人その他の者の事業活動に著しい支障を生ずるおそれがあると認めるときは、相手方に対し、その旨を告げ、当該事項が、犯罪の証明若しくは犯罪の捜査又は被告人の防御に関し必要がある場合を除き、関係者(被告人を含む。)に知られないようにすることを求めることができる。ただし、被告人に知られないようにすることを求めることについては、当該事項のうち起訴状に記載された事項以外のものに限る。
前項の規定は、検察官又は弁護人が刑事訴訟法第二編第三章第二節第一款第二目(同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定による証拠の開示をする場合について準用する。
この法律に定めるもののほか、第二十三条から前条までの規定の実施に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。