この法律は、ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。
前項第五号の「電子メールの送信等」とは、次の各号のいずれかに掲げる行為(電話をかけること及びファクシミリ装置を用いて送信することを除く。)をいう。
電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。次号において同じ。)の送信を行うこと。
この法律において「位置情報無承諾取得等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
その承諾を得ないで、その所持する位置特定用識別情報送信装置(当該装置を識別する情報を送信する機能を有し、当該装置の周辺において当該情報を受信した識別情報送受信装置(位置情報記録・送信装置その他の装置であって、当該情報を受信し、及び送信する機能を有するものをいう。)の位置に係る位置情報を利用して、その所在する地点又は区域の位置を特定するために用いられる装置をいう。以下この号及び次号において同じ。)(同号に規定する行為がされた位置特定用識別情報送信装置を含む。)の位置に係る位置情報を取得すること。
その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置又は位置特定用識別情報送信装置(以下この号において「位置情報記録・送信装置等」という。)を取り付けること、位置情報記録・送信装置等を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置等を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること。
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう。
何人も、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。
警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長(以下「警察本部長等」という。)は、前条の規定に違反する行為があり、かつ、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、その相手方の申出により、又は職権で、当該行為をした者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、更に反復して当該行為をしてはならない旨を警告することができる。
都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、第三条の規定に違反する行為があった場合において、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、その相手方の申出により、又は職権で、当該行為をした者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を命ずることができる。
更に反復して当該行為をしてはならないこと。
更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項
公安委員会は、前項の規定による命令(以下「禁止命令等」という。)をしようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
公安委員会は、第一項に規定する場合において、第三条の規定に違反する行為の相手方の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害されることを防止するために緊急の必要があると認めるときは、前項及び行政手続法第十三条第一項の規定にかかわらず、聴聞又は弁明の機会の付与を行わないで、当該相手方の申出により(当該相手方の身体の安全が害されることを防止するために緊急の必要があると認めるときは、その申出により、又は職権で)、禁止命令等をすることができる。この場合において、当該禁止命令等をした公安委員会は、意見の聴取を、当該禁止命令等をした日から起算して十五日以内(当該禁止命令等をした日から起算して十五日以内に次項において準用する同法第十五条第三項の規定により意見の聴取の通知を行った場合にあっては、当該通知が到達したものとみなされる日から十四日以内)に行わなければならない。
禁止命令等の効力は、禁止命令等をした日から起算して一年とする。
公示送達は、送達すべき書類の名称、その送達を受けるべき者の氏名及び公安委員会がその書類をいつでも送達を受けるべき者に交付する旨(以下この項において「公示事項」という。)を国家公安委員会規則で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、公示事項が記載された書面を当該公安委員会の掲示板に掲示し、又は公示事項を当該公安委員会の庁舎に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとることにより行う。
警察本部長等は、警告又は禁止命令等(以下この項において「警告等」という。)があった場合において、当該警告等に係る第三条の規定に違反する行為の相手方に係る情報を保有し、又は保有しようとしている者(以下この項において「相手方情報保有者等」という。)が、当該警告等を受けた者であって現にストーカー行為等をするおそれがあるものに対して当該相手方に係る特定相手方情報を提供するおそれがあると認めるときは、当該相手方情報保有者等に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該提供の相手方がストーカー行為等をするおそれがある者であることを通知して、当該提供を行わないよう求めることができる。この場合において、警察本部長等は、当該相手方情報保有者等に対し、当該通知に係る事項をみだりに第三者に漏らさないよう求めなければならない。