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民事執行法(みんじしっこうほう)

第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行(第九十三条から第百九条まで)

民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和八年法律第四十六号)による改正後の条文です。変わる言葉に印をつけています。

本則は章ごとのページで読みます。長い章は、さらに条のまとまりごとに分けています。本則の全条文と、この改正が変える附則・別表を示します。この改正が触れていない附則や別表は、いま施行されている条文のページでご覧ください。

第三目 強制管理

第九十三条

(開始決定等)
第一項

執行裁判所は、強制管理の手続を開始するには、強制管理の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し収益の処分を禁止し、及び債務者が賃貸料の請求権その他の当該不動産の収益に係る給付を求める権利(以下「給付請求権」という。)を有するときは、債務者に対して当該給付をする義務を負う者(以下「給付義務者」という。)に対しその給付の目的物を管理人に交付すべき旨を命じなければならない。

第二項

前項の収益は、後に収穫すべき天然果実及び既に弁済期が到来し、又は後に弁済期が到来すべき法定果実とする。

第三項

第一項の開始決定は、債務者及び給付義務者に送達しなければならない。

第四項

給付義務者に対する第一項の開始決定の効力は、開始決定が当該給付義務者に送達された時に生ずる。

第五項

強制管理の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

第九十三条の二

(二重開始決定)
第一項

既に強制管理の開始決定がされ、又は第百八十条第二号に規定する担保不動産収益執行の開始決定がされた不動産について強制管理の申立てがあつたときは、執行裁判所は、更に強制管理の開始決定をするものとする。

第九十三条の三

(給付義務者に対する競合する債権差押命令等の陳述の催告)
第一項

裁判所書記官は、給付義務者に強制管理の開始決定を送達するに際し、当該給付義務者に対し、開始決定の送達の日から二週間以内に給付請求権に対する差押命令又は差押処分の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。この場合においては、第百四十七条第二項の規定を準用する。

第九十三条の四

(給付請求権に対する競合する債権差押命令等の効力の停止等)
第一項

第九十三条第四項の規定により強制管理の開始決定の効力が給付義務者に対して生じたときは、給付請求権に対する差押命令又は差押処分であつて既に効力が生じていたものは、その効力を停止する。ただし、強制管理の開始決定の給付義務者に対する効力の発生が第百六十五条各号(第百六十七条の十四第一項において第百六十五条各号(第三号及び第四号を除く。)の規定を準用する場合及び第百九十三条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる時後であるときは、この限りでない。

第二項

第九十三条第四項の規定により強制管理の開始決定の効力が給付義務者に対して生じたときは、給付請求権に対する仮差押命令であつて既に効力が生じていたものは、その効力を停止する。

第三項

第一項の差押命令又は差押処分の債権者、同項の差押命令又は差押処分が効力を停止する時までに当該債権執行(第百四十三条に規定する債権執行をいう。)又は少額訴訟債権執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行をいう。)の手続において配当要求をした債権者及び前項の仮差押命令の債権者は、第百七条第四項の規定にかかわらず、前二項の強制管理の手続において配当等を受けることができる。

第九十四条

(管理人の選任)
第一項

執行裁判所は、強制管理の開始決定と同時に、管理人を選任しなければならない。

第二項

信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第三条又は第五十三条第一項の免許を受けた者をいう。)、銀行その他の法人は、管理人となることができる。

第九十五条

(管理人の権限)
第一項

管理人は、強制管理の開始決定がされた不動産について、管理並びに収益の収取及び換価をすることができる。

第二項

管理人は、民法第六百二条に定める期間を超えて不動産を賃貸するには、債務者の同意を得なければならない。

第三項

管理人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、執行裁判所の許可を受けて、職務を分掌することができる。

第四項

管理人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。

第九十六条

(強制管理のための不動産の占有等)
第一項

管理人は、不動産について、債務者の占有を解いて自らこれを占有することができる。

第二項

管理人は、前項の場合において、閉鎖した戸を開く必要があると認めるときは、執行官に対し援助を求めることができる。

第三項

第五十七条第三項の規定は、前項の規定により援助を求められた執行官について準用する。

第九十七条

(建物使用の許可)
第一項

債務者の居住する建物について強制管理の開始決定がされた場合において、債務者が他に居住すべき場所を得ることができないときは、執行裁判所は、申立てにより、債務者及びその者と生計を一にする同居の親族(婚姻又は縁組の届出をしていないが債務者と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にある者を含む。以下「債務者等」という。)の居住に必要な限度において、期間を定めて、その建物の使用を許可することができる。

第二項

債務者が管理人の管理を妨げたとき、又は事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。

第三項

前二項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。

第九十八条

(収益等の分与)
第一項

強制管理により債務者の生活が著しく困窮することとなるときは、執行裁判所は、申立てにより、管理人に対し、収益又はその換価代金からその困窮の程度に応じ必要な金銭又は収益を債務者に分与すべき旨を命ずることができる。

第二項

前条第二項の規定は前項の規定による決定について、同条第三項の規定は前項の申立て又はこの項において準用する前条第二項の申立てについての決定について準用する。

第九十九条

(管理人の監督)
第一項

管理人は、執行裁判所が監督する。

第百条

(管理人の注意義務)
第一項

管理人は、善良な管理者の注意をもつてその職務を行わなければならない。

第二項

管理人が前項の注意を怠つたときは、その管理人は、利害関係を有する者に対し、連帯して損害を賠償する責めに任ずる。

第百一条

(管理人の報酬等)
第一項

管理人は、強制管理のため必要な費用の前払及び執行裁判所の定める報酬を受けることができる。

第二項

前項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。

第百二条

(管理人の解任)
第一項

重要な事由があるときは、執行裁判所は、利害関係を有する者の申立てにより、又は職権で、管理人を解任することができる。この場合においては、その管理人を審尋しなければならない。

第百三条

(計算の報告義務)
第一項

管理人の任務が終了した場合においては、管理人又はその承継人は、遅滞なく、執行裁判所に計算の報告をしなければならない。

第百四条

(強制管理の停止)
第一項

第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書又は電磁的記録の提出があつた場合においては、強制管理は、配当等の手続を除き、その時の態様で継続することができる。この場合においては、管理人は、配当等に充てるべき金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

第二項

前項の規定により供託された金銭の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができるときは、執行裁判所は、配当等の手続を除き、強制管理の手続を取り消さなければならない。

第百五条

(配当要求)
第一項

執行力のある債務名義の正本を有する債権者、登記(仮登記を除く。)がされた一般の先取特権を有する債権者及び第百八十一条第一項第二号に掲げる文書又は電磁的記録により一般の先取特権を有することを証明した債権者は、執行裁判所に対し、配当要求をすることができる。

第二項

配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

第百六条

(配当等に充てるべき金銭等)
第一項

配当等に充てるべき金銭は、第九十八条第一項の規定による分与をした後の収益又はその換価代金から、不動産に対して課される租税その他の公課及び管理人の報酬その他の必要な費用を控除したものとする。

第二項

配当等に充てるべき金銭を生ずる見込みがないときは、執行裁判所は、強制管理の手続を取り消さなければならない。

第百七条

(管理人による配当等の実施)
第一項

管理人は、前条第一項に規定する費用を支払い、執行裁判所の定める期間ごとに、配当等に充てるべき金銭の額を計算して、配当等を実施しなければならない。

第二項

債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて配当等に充てるべき金銭で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、管理人は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。

第三項

前項に規定する場合を除き、配当等に充てるべき金銭の配当について債権者間に協議が調つたときは、管理人は、その協議に従い配当を実施する。

第四項

配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。

一

差押債権者のうち次のイからハまでのいずれかに該当するもの

イ

第一項の期間の満了までに強制管理の申立てをしたもの

ロ

第一項の期間の満了までに一般の先取特権の実行として第百八十条第二号に規定する担保不動産収益執行の申立てをしたもの

ハ

第一項の期間の満了までに第百八十条第二号に規定する担保不動産収益執行の申立てをしたもの(ロに掲げるものを除く。)であつて、当該申立てが最初の強制管理の開始決定に係る差押えの登記前に登記(民事保全法第五十三条第二項に規定する保全仮登記を含む。)がされた担保権に基づくもの

二

仮差押債権者(第一項の期間の満了までに、強制管理の方法による仮差押えの執行の申立てをしたものに限る。)

三

第一項の期間の満了までに配当要求をした債権者

第五項

第三項の協議が調わないときは、管理人は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

第百八条

(管理人による配当等の額の供託)
第一項

配当等を受けるべき債権者の債権について第九十一条第一項各号(第七号を除く。)に掲げる事由があるときは、管理人は、その配当等の額に相当する金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。債権者が配当等の受領のために出頭しなかつたときも、同様とする。

第百九条

(執行裁判所による配当等の実施)
第一項

執行裁判所は、第百七条第五項の規定による届出があつた場合には直ちに、第百四条第一項又は前条の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。