執行官は、差押物又は仮差押えの執行をした動産を更に差し押さえることができない。
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第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行(第百二十五条から第百四十三条まで)
民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和八年法律第四十六号)による改正後の条文です。変わる言葉に印をつけています。
本則は章ごとのページで読みます。長い章は、さらに条のまとまりごとに分けています。本則の全条文と、この改正が変える附則・別表を示します。この改正が触れていない附則や別表は、いま施行されている条文のページでご覧ください。
第百二十五条
差押えを受けた債務者に対しその差押えの場所について更に動産執行の申立てがあつた場合においては、執行官は、まだ差し押さえていない動産があるときはこれを差し押さえ、差し押さえるべき動産がないときはその旨を明らかにして、その動産執行事件と先の動産執行事件とを併合しなければならない。仮差押えの執行を受けた債務者に対しその執行の場所について更に動産執行の申立てがあつたときも、同様とする。
前項前段の規定により二個の動産執行事件が併合されたときは、後の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、先の事件において差し押さえられたものとみなし、後の事件の申立ては、配当要求の効力を生ずる。先の差押債権者が動産執行の申立てを取り下げたとき、又はその申立てに係る手続が停止され、若しくは取り消されたときは、先の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、後の事件のために差し押さえられたものとみなす。
第二項後段の規定により仮差押執行事件と動産執行事件とが併合されたときは、仮差押えの執行がされた動産は、併合の時に、動産執行事件において差し押さえられたものとみなし、仮差押執行事件の申立ては、配当要求の効力を生ずる。差押債権者が動産執行の申立てを取り下げたとき、又はその申立てに係る手続が取り消されたときは、動産執行事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、仮差押執行事件において仮差押えの執行がされたものとみなす。
第百二十六条
差押えの効力は、差押物から生ずる天然の産出物に及ぶ。
第百二十七条
差押物を第三者が占有することとなつたときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その第三者に対し、差押物を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。
前項の申立ては、差押物を第三者が占有していることを知つた日から一週間以内にしなければならない。
第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
第五十五条第八項から第十項までの規定は、第一項の規定による決定について準用する。
第百二十八条
動産の差押えは、差押債権者の債権及び執行費用の弁済に必要な限度を超えてはならない。
差押えの後にその差押えが前項の限度を超えることが明らかとなつたときは、執行官は、その超える限度において差押えを取り消さなければならない。
第百二十九条
差し押さえるべき動産の売得金の額が手続費用の額を超える見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。
差押物の売得金の額が手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の額の合計額以上となる見込みがないときは、執行官は、差押えを取り消さなければならない。
第百三十条
差押物について相当な方法による売却の実施をしてもなお売却の見込みがないときは、執行官は、その差押物の差押えを取り消すことができる。
第百三十一条
次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
第百三十二条
執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押えの全部若しくは一部の取消しを命じ、又は前条各号に掲げる動産の差押えを許すことができる。
事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押えが取り消された動産の差押えを許し、又は同項の規定による差押えの全部若しくは一部の取消しを命ずることができる。
前二項の規定により差押えの取消しの命令を求める申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで強制執行の停止を命ずることができる。
第一項又は第二項の申立てを却下する決定及びこれらの規定により差押えを許す決定に対しては、執行抗告をすることができる。
第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第百三十三条
先取特権又は質権を有する者は、その権利を証する文書又は電磁的記録を提出して、配当要求をすることができる。
第百三十四条
執行官は、差押物を売却するには、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。
第百三十五条
第六十五条及び第六十八条の規定は、差押物を売却する場合について準用する。
第百三十六条
執行官は、手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求(以下「提示等」という。)を要するもの(以下「手形等」という。)を差し押さえた場合において、その期間の始期が到来したときは、債務者に代わつて手形等の提示等をしなければならない。
第百三十七条
第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書又は電磁的記録の提出があつた場合において、差押物について著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、その差押物を売却することができる。
執行官は、前項の規定により差押物を売却したときは、その売得金を供託しなければならない。
第百三十八条
執行官は、有価証券を売却したときは、買受人のために、債務者に代わつて裏書又は名義書換えに必要な行為をすることができる。
第百三十九条
債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売得金、差押金銭若しくは手形等の支払金(以下「売得金等」という。)で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行官は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
前項に規定する場合を除き、売得金等の配当について債権者間に協議が調つたときは、執行官は、その協議に従い配当を実施する。
前項の協議が調わないときは、執行官は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
第八十四条第四項及び第五項並びに第八十八条の規定は、第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合について準用する。
第百四十条
配当等を受けるべき債権者は、差押債権者のほか、売得金については執行官がその交付を受けるまで(第百三十七条又は民事保全法第四十九条第三項の規定により供託された売得金については、動産執行が続行されることとなるまで)に、差押金銭についてはその差押えをするまでに、手形等の支払金についてはその支払を受けるまでに配当要求をした債権者とする。
第百四十一条
第百三十九条第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合において、配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、執行官は、その配当等の額に相当する金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
停止条件付又は不確定期限付であるとき。
仮差押債権者の債権であるとき。
第三十九条第一項第七号又は第百九十二条において準用する第百八十三条第一項第二号ホに掲げる文書が提出されているとき。
その債権に係る先取特権又は質権の実行を一時禁止する裁判の正本又は記録事項証明書が提出されているとき。
執行官は、配当等の受領のために出頭しなかつた債権者に対する配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
第百四十二条
執行裁判所は、第百三十九条第三項の規定による届出があつた場合には直ちに、前条第一項の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。
第八十四条から第八十六条まで及び第八十八条から第九十二条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。
第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行
第一目 債権執行等
第百四十三条
金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。