第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続
裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについて、次の各号のいずれかに該当するときは、管轄権を有する。
人を相手方とする場合において、次のイからハまでのいずれかに該当するとき。
相手方の住所又は居所が日本国内にあるとき。
相手方の住所及び居所が日本国内にない場合又はその住所及び居所が知れない場合において、当該相手方が申立て前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)。
大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人を相手方とするとき。
法人その他の社団又は財団を相手方とする場合において、次のイ又はロのいずれかに該当するとき。
相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき。
相手方の主たる事務所又は営業所が日本国内にない場合において、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するとき。
当該相手方の事務所又は営業所が日本国内にある場合において、申立てが当該事務所又は営業所における業務に関するものであるとき。
当該相手方の事務所若しくは営業所が日本国内にない場合又はその事務所若しくは営業所の所在地が知れない場合において、代表者その他の主たる業務担当者の住所が日本国内にあるとき。
前二号に掲げるもののほか、日本において事業を行う者(日本において取引を継続してする外国会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第二号に規定する外国会社をいう。)を含む。)を相手方とする場合において、申立てが当該相手方の日本における業務に関するものであるとき。
前項の合意は、書面でしなければ、その効力を生じない。
日本の裁判所の管轄権は、発信者情報開示命令の申立てがあった時を標準として定める。
発信者情報開示命令の申立ては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
人を相手方とする場合 相手方の住所の所在地(相手方の住所が日本国内にないとき又はその住所が知れないときはその居所の所在地とし、その居所が日本国内にないとき又はその居所が知れないときはその最後の住所の所在地とする。)
法人その他の社団又は財団を相手方とする場合 次のイ又はロに掲げる事務所又は営業所の所在地(当該事務所又は営業所が日本国内にないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所の所在地とする。)
相手方の主たる事務所又は営業所
申立てが相手方の事務所又は営業所(イに掲げるものを除く。)における業務に関するものであるときは、当該事務所又は営業所
東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。) 東京地方裁判所
大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。) 大阪地方裁判所
東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 東京地方裁判所
大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所 大阪地方裁判所
前項第二号に定める裁判所がした発信者情報開示命令事件(同項に規定する権利の侵害に係るものに限る。)についての決定に対する即時抗告は、東京高等裁判所の管轄に専属する。
当該他の開示関係役務提供者を相手方とする当該提供に係る侵害情報についての発信者情報開示命令事件
当該提供に係る侵害情報についての他の発信者情報開示命令事件
裁判所は、発信者情報開示命令の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であるとき又は当該申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該発信者情報開示命令の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。
非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十三条第四項から第六項までの規定は、発信者情報開示命令の申立書の写しを送付することができない場合(当該申立書の写しの送付に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。
裁判所は、発信者情報開示命令の申立てについての決定をする場合には、当事者の陳述を聴かなければならない。ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして当該申立てを却下する決定をするときは、この限りでない。
当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、発信者情報開示命令事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は発信者情報開示命令事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
前項の規定は、発信者情報開示命令事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)については、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。
前二項の規定による発信者情報開示命令事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、当該記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
発信者情報開示命令の申立ては、当該申立てについての決定が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。ただし、当該申立ての取下げは、次に掲げる決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
当該申立てについての決定
当該申立てに係る発信者情報開示命令事件を本案とする第十五条第一項の規定による命令
発信者情報開示命令の申立ての取下げがあった場合において、前項ただし書の規定により当該申立ての取下げについて相手方の同意を要するときは、裁判所は、相手方に対し、当該申立ての取下げがあったことを通知しなければならない。ただし、当該申立ての取下げが発信者情報開示命令事件の手続の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは、この限りでない。
本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者(以下この項において「申立人」という。)の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。
次の各号のいずれかに該当するときは、提供命令(提供命令により二以上の他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者が、当該他の開示関係役務提供者のうちの一部の者について第一項第二号に規定する通知をしないことにより第二号に該当することとなるときは、当該一部の者に係る部分に限る。)は、その効力を失う。
当該提供命令の本案である発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての前条第一項に規定する決定に対して同項に規定する訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了したとき。
当該提供命令により他の開示関係役務提供者の氏名等情報の提供を受けた者が、当該提供を受けた日から二月以内に、当該提供命令を受けた開示関係役務提供者に対し、第一項第二号に規定する通知をしなかったとき。
提供命令の申立ては、当該提供命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。
本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、当該発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての第十四条第一項に規定する決定に対して同項に規定する訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了するまでの間、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報(当該発信者情報開示命令の申立てに係るものに限る。)を消去してはならない旨を命ずることができる。
前項の規定による命令(以下この条において「消去禁止命令」という。)の申立ては、当該消去禁止命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。
発信者情報開示命令事件に関する裁判手続における申立てその他の申述については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編第八章(第百三十三条の二第五項及び第六項並びに第百三十三条の三第二項を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第百三十三条第一項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人(非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第二十一条第五項に規定する利害関係参加人をいう。第百三十三条の四第一項、第二項及び第七項において同じ。)」と、同条第三項中「訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録」とあるのは「発信者情報開示命令事件(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第二条第十三号に規定する発信者情報開示命令事件」と、「)中」とあるのは「)の記録中」と、「について訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等をいう。以下この章において同じ。)」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の二第一項中「に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同条第二項中「訴訟記録等中」とあるのは「発信者情報開示命令事件の記録中」と、同項及び同条第三項中「に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同法第百三十三条の三第一項中「記載され、又は記録された書面又は電磁的記録」とあるのは「記載された書面」と、「当該書面又は電磁的記録」とあるのは「当該書面」と、「又は電磁的記録その他これに類する書面又は電磁的記録に係る訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「その他これに類する書面の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付」と、同法第百三十三条の四第一項中「者は、訴訟記録等」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人又は利害関係を疎明した第三者は、発信者情報開示命令事件の記録」と、同条第二項中「当事者」とあるのは「当事者又は利害関係参加人」と、「訴訟記録等の存する」とあるのは「発信者情報開示命令事件の記録の存する」と、「訴訟記録等の閲覧等」とあるのは「閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同条第七項中「当事者」とあるのは「当事者若しくは利害関係参加人」と読み替えるものとする。
発信者情報開示命令事件に関する裁判手続については、非訟事件手続法第二十二条第一項ただし書、第二十七条、第四十条及び第四十二条の二の規定は、適用しない。
この法律に定めるもののほか、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。