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民事執行法(みんじしっこうほう)

第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行(第百二十八条から第百四十四条まで)

譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和七年法律第五十七号)による改正後の条文です。変わる言葉に印をつけています。

本則は章ごとのページで読みます。長い章は、さらに条のまとまりごとに分けています。本則の全条文と、この改正が変える附則・別表を示します。この改正が触れていない附則や別表は、いま施行されている条文のページでご覧ください。

第百二十八条

(超過差押えの禁止等)
第一項

動産の差押えは、差押債権者の債権及び執行費用の弁済に必要な限度を超えてはならない。

第二項

差押えの後にその差押えが前項の限度を超えることが明らかとなつたときは、執行官は、その超える限度において差押えを取り消さなければならない。

第百二十九条

(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)
第一項

差し押さえるべき動産の売得金の額が手続費用の額を超える見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。

第二項

差押物の売得金の額が手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の額の合計額以上となる見込みがないときは、執行官は、差押えを取り消さなければならない。

第百三十条

(売却の見込みのない差押物の差押えの取消し)
第一項

差押物について相当な方法による売却の実施をしてもなお売却の見込みがないときは、執行官は、その差押物の差押えを取り消すことができる。

第百三十一条

(差押禁止動産)
第一項

次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。

一

債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具

二

債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料

三

標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭

四

主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物

五

主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物

六

技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)

七

実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの

八

仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物

九

債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類

十

債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物

十一

債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具

十二

発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの

十三

債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物

十四

建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品

第百三十二条

(差押禁止動産の範囲の変更)
第一項

執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押えの全部若しくは一部の取消しを命じ、又は前条各号に掲げる動産の差押えを許すことができる。

第二項

事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押えが取り消された動産の差押えを許し、又は同項の規定による差押えの全部若しくは一部の取消しを命ずることができる。

第三項

前二項の規定により差押えの取消しの命令を求める申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで強制執行の停止を命ずることができる。

第四項

第一項又は第二項の申立てを却下する決定及びこれらの規定により差押えを許す決定に対しては、執行抗告をすることができる。

第五項

第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

第百三十三条

(先取特権者等の配当要求)
第一項

先取特権又は質権を有する者は、その権利を証する文書を提出して、配当要求をすることができる。

第百三十四条

(売却の方法)
第一項

執行官は、差押物を売却するには、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。

第百三十五条

(売却の場所の秩序維持等に関する規定の準用)
第一項

第六十五条及び第六十八条の規定は、差押物を売却する場合について準用する。

第百三十六条

(手形等の提示義務)
第一項

執行官は、手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求(以下「提示等」という。)を要するもの(以下「手形等」という。)を差し押さえた場合において、その期間の始期が到来したときは、債務者に代わつて手形等の提示等をしなければならない。

第百三十七条

(執行停止中の売却)
第一項

第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書の提出があつた場合において、差押物について著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、その差押物を売却することができる。

第二項

執行官は、前項の規定により差押物を売却したときは、その売得金を供託しなければならない。

第百三十八条

(有価証券の裏書等)
第一項

執行官は、有価証券を売却したときは、買受人のために、債務者に代わつて裏書又は名義書換えに必要な行為をすることができる。

第百三十九条

(執行官による配当等の実施)
第一項

債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売得金、差押金銭若しくは手形等の支払金(以下「売得金等」という。)で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行官は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。

第二項

前項に規定する場合を除き、売得金等の配当について債権者間に協議が調つたときは、執行官は、その協議に従い配当を実施する。

第三項

前項の協議が調わないときは、執行官は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

第四項

第八十四条第三項及び第四項並びに第八十八条の規定は、第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合について準用する。

第百四十条

(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第一項

配当等を受けるべき債権者は、差押債権者のほか、売得金については執行官がその交付を受けるまで(第百三十七条又は民事保全法第四十九条第三項の規定により供託された売得金については、動産執行が続行されることとなるまで)に、差押金銭についてはその差押えをするまでに、手形等の支払金についてはその支払を受けるまでに配当要求をした債権者とする。

第百四十一条

(執行官の供託)
第一項

第百三十九条第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合において、配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、執行官は、その配当等の額に相当する金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

一

停止条件付又は不確定期限付であるとき。

二

仮差押債権者の債権であるとき。

三

第三十九条第一項第七号又は第百九十二条において準用する第百八十三条第一項第二号ホに掲げる文書が提出されているとき。

四

その債権に係る先取特権又は質権の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき。

第二項

執行官は、配当等の受領のために出頭しなかつた債権者に対する配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。

第百四十二条

(執行裁判所による配当等の実施)
第一項

執行裁判所は、第百三十九条第三項の規定による届出があつた場合には直ちに、前条第一項の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。

第二項

第八十四条から第八十六条まで及び第八十八条から第九十二条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。

第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行

第一目 債権執行等

第百四十三条

(債権執行の開始)
第一項

金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。

第百四十四条

(執行裁判所)
第一項

債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

第二項

差し押さえるべき債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶又は動産の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。

第三項

差押えに係る債権(差押命令により差し押さえられた債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押命令が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は、事件を他の執行裁判所に移送することができる。

第四項

前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。